外国人人材を雇用する企業が知っておきたい日本語教育の提供法
1.外国人人材雇用の現状と日本語教育の必要性
新型コロナウイルスの感染が拡大し、新規に来日する留学生が激減しています。
2020年(令和2年)の1年間で留学生数は2割近く減り、年末時点で28万901人まで落ち込みました。
しかし、令和2年10月末で日本で就労している外国人は170万人を超えています。
日本の人手不足の解消には、外国人人材の存在はなくてはならないものとなっています。
ワクチン接種が進み、コロナが収束した後には、外国人人材の受け入れが進むと想定されます。
外国人人材が日本で働く上で、一番のトラブルの原因はコミュニケーションでしょう。
令和2年度「在留外国人に対する基礎調査報告書」によると、公的機関へのアクセスや医療機関利用などに関連する困りごとが多いです。
また日本語でのコミュニケーションに支障があると、生活はもとより、職場では様々な問題が起きてきます。
受け入れ企業にとっては、
・上司からの指摘が理解ができず、現場の事故のリスクが高くなる
・効率的な作業ができない
・日本人社員とのやり取りが増え、業務負担が増える
外国人にとっては、
・職場の同僚や上司と信頼関係を築くことが難しい
・外国人労働者のストレスがたまって、離職率が高くなる
これらのトラブルを防ぐためには、日本人側の理解とともに、外国人人材の日本語教育が必要不可欠となっています。
文化庁の「令和元年度 国内の日本語教育概要」によると、令和元年度日本国内での日本語教育学習者数は277,857人となっています。
教育機関や地方公共団体などを通して学習している人の集計なので、独学の人も含めると、日本語教育学習者は更に多く、それだけ日本語教育が求められていると言えるでしょう。
2.外国人人材を雇用する企業が考えておくべきこと
外国人人材を雇用する企業は、日本語教育を提供する際に、以下の点を考慮しましょう。
①仕事で必要な日本語レベルを把握して目標を設定する
企業ごとに必要とされる日本語レベルは異なりますが、まず目安として、日本語能力試験のN5~N1の評価がひとつの判断材料になるでしょう。
外国人社員の日本語レベルをどこまで必要とするかを定めて、目標のレベルに合格できるようになるにはどんな学習環境が必要かを知るために、外国人社員の現在の日本語レベルを把握しましょう。
②日本語能力のレベルアップに役立つ学習環境を整備する
外国人社員が目標とするレベルに合格できるように、日本語eラーニング教材の導入や、社内研修など、社内での学習環境を整備しましょう。
また、社内交流会など実際に日本語で話すコミュニケーションの機会を設ける環境作りも重要でしょう。
3.外国人社員から見た「日本語の勉強方法」
外国人人材が日本語の勉強を始めるきっかけとして、日本文化に興味を持ったから、という人が多いようです。無理なく勉強を続けるコツは、好きなことを通じて楽しみながら覚えていくことです。
日本語には、50音のひらがなとカタカナ、常用漢字と呼ばれる一般生活で使われる漢字が2136文字、4388音の音訓の読み方があります。さらに敬語、ビジネス日本語、職場ごとの専門用語等々、日本語を学ぶことは外国人にとって相当多くの努力が求められます。
一昔前の「日本語習得までの道のり」には、来日前に日本語の塾に通い、来日後に日本語学校で学習して、そこから進学か就職か、という「流れ」がありました。
しかし近年の日本語学習は、ライブでのオンラインレッスン、いつでもできるeラーニング学習、アプリ学習など、従来の流れだけではなく、多様な方法を学習者が選択することができ、最短で効率のよい、自分に合った多様な方法を、学習者が選択することができます。
また集合研修に参加することがむずかしいコロナ禍の今、多くの日本語学校では、分散登校や定員制限のある対面授業で感染症対策を行っていますが、自宅で学習できるオンラインレッスンや、すきま時間でも効率よく学習できるeラーニングでの授業に注目が集まってきています。
就職前とは異なり、就職後の日本語学習は、時間を有効に使えるように、座学と実践をバランスよく組めることが理想です。すきま時間に基礎知識をeラーニングで学習し、発音と会話をオンライン学習で練習して、頻繁に日本語に接することで、日本語のレベルアップひいてはコミュニケーション能力が上がり、仕事の技術も身につくことにより、仕事のスキルアップ、仕事の定着率も高まることが期待できます。
コロナ禍における現在は、外国人採用を中断している企業もあり、入国制限がおこなわれていますが、将来的には外国人人材が日本に必要であることは間違いなく、外国人人材が増えていくことになるのは明らかです。さらに入国前に、オンラインでの日本語学習方法を選ぶ外国人が増えてくるでしょう。日本語eラーニング教材・オンラインレッスンがより求められることは間違いないと考えられます。
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