特定技能「介護」とは?学習すべき内容までご紹介

日本全体で高齢化が急速に進行していると言われるようになって久しいですが、その波は介護業界を日々圧迫しています。特に介護職の人手不足が深刻化しており、今働いている人たちの負担は年々重くなっています。

そのような状況下で、特定技能「介護」という在留資格制度を活用した海外からの人材受け入れが盛んになっています。

この記事では、この制度の概要やこの資格を取得するために必要なものをご紹介します。

特定技能「介護」とは

「特定技能」制度を使って人材不足の解消に努めているという話は、様々な業種で耳にすることがありますが、実際にこの制度がどのようなものなのか説明できる人は少ないかもしれません。

ここでは、特定技能制度の対象となる14の業種の中から「介護」をピックアップし、資格の内容や取得の要件を解説します。

介護業界は慢性的な人手不足に苦しんでいる

少子高齢化が進む日本では、多くの産業において人手不足が発生しています。
介護領域においてもそれは例外ではなく、需要に対して働き手が足りていないのが現状です。

特に地方では労働人口が都市部に流出してしまっていることが多く、より厳しい状況に追い込まれています。

そのような状況を改善するために特定技能制度が施行され、厚生労働省は2024年までに6万人もの外国人労働者の受け入れを行うことを目標としました。

ただ、現在は新型コロナウイルスの影響で思うように受け入れができていないため、人手不足の解消には時間がかかるとみられます。

介護業界に外国の人材を受け入れるための在留資格制度

特定技能(英語:Specific skill)は、2019年に開始された在留資格制度です。

日本国内のさまざまな業界で深刻化する人手不足を解消することを目的として作られ、海外からの労働人口を積極的に日本の産業の中に取り入れています。

中でも特定技能「介護」は、主に介護職に就くことを前提に在留資格を付与するもので、2021年9月時点で4,000人近くの在留外国人がこの資格を取得しています。

ちなみに在留資格を得た人たちの国籍として最も多いのはベトナムで、フィリピンや中国が続きます。  

特定技能「介護」を取得することでできるようになること

介護分野の特定技能を取得することで、国外からの労働者は5年間就労目的での滞在が可能になります。

またフルタイムでの直接雇用と、日本人と同等以上の報酬支払いが義務づけられているため、収入の安定を図ることができます。

雇用側が人手不足を補える一方で、働き手となる外国人にもメリットのある制度です。

特定技能を取得した外国人労働者の仕事内容

特定技能「介護」を持つ外国人労働者の主な業務内容は「身体介護業務」と「支援業務」の2つです。

身体介護とは利用者の身体に直接触れて行う介護行為のことで、入浴の介助や着替えの支援などがこれにあたります。

支援業務は介助に付随して生じる業務を指し、機能訓練を行う際の補助や介護施設で行われるイベントの企画などがこれに該当します。

受け入れ企業側の注意点

各事業所は、特定技能を取得した外国人労働者を雇用することで人手不足を補うことができますが、雇用に際していくつかの制約はあります。

ここからは、雇用やその他の事柄で受け入れ側の企業が注意すべきことや、しなければならないことを解説します。

 

雇用上の注意点

特定技能「介護」を持った外国人労働者を雇用するにあたって、企業が注意しなければならないことには次のようなものがあります。

  • 雇用形態は直接雇用でなければならない
  • 訪問介護サービスやサービス付き高齢者住宅では雇用ができない
  • 受け入れ人数は日本人の常勤職員の数を上回ってはならない
  • 特定技能で雇用された場合、5年が経過したら外国人労働者は帰国しなければならない

特に気をつけなければならないのは、事業所が提供しているサービスにより受け入れの可否が異なる点です。

特定技能「介護」の取得者を雇用することができるのは、事業所で介護サービスを提供している事業者のみのため、訪問系の介護サービスにはこの制度は適用されません。

また、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)はあくまで介護サービスが付随的に提供されるという認識のため、訪問介護と同様に特定技能「介護」の対象にはなりません。

就労支援や生活支援をする必要がある

特定技能外国人を雇用するためには「1号特定技能外国人支援計画」を作成した上で、就労や生活に関する支援をする必要があります。

この支援計画で定められているのは次の10項目です。

  • 事前ガイダンス
  • 出入国する際の送迎
  • 住居確保、生活に必要な契約支援
  • 生活オリエンテーション
  • 公的手続等への同行
  • 日本語学習の機会の提供
  • 相談、苦情への対応
  • 日本人との交流促進
  • 転職支援(人員整理等の場合)
  • 定期的な面談、行政機関への通報

この項目からお分かりいただけるように、入国する前の段階から最終的に出国するまで、生活や就労に関する支援をするという内容となっています。

計画通りに支援を行うのはもちろんですが、本人たちの困りごとに対処するというスタンスで不安を解消するようにすると良いでしょう。

特定技能協議会に加入する必要がある

特定技能「介護」の在留資格で外国人労働者を受け入れる事業者は、「介護分野における特定技能協議会」に加入しなければなりません。

加入期限は、最初の外国人労働者の受け入れを行った日から起算して4ヶ月以内です。

特定技能「介護」を取得するための要件

続いて、この在留資格を取得するにあたって満たさなければならない要件をご紹介します。

基本的にこの特定技能は「日本語能力」「介護能力」の2つの軸で成り立っています。どちらのスキルも現場で活用できるように高める必要があることはぜひ頭に入れておいてください。

日本語のスキルで一定の基準を満たす

日本語を扱えるようになることは、日本で働く上で必要不可欠です。これは他の特定技能にも共通することですが、介護業務では特にコミュニケーションを取りながら利用者に寄り添ったサービスを提供することが求められるため、介護業務の中で使える実践的な日本語力を培わなければなりません。

具体的な評価指標としては、「日本語能力試験N4以上」と「介護日本語評価試験」両方の合格もしくは「国際交流基金日本語基礎テスト」の合格があります。

介護のスキルで一定の基準を満たす

日本において介護職に従事する上で日本語スキルと同様に必要になるのは、介護そのものの技術です。

厚生労働省はこの項目を「技能試験」と呼称しており、具体的には「介護技能評価試験」に合格することを求めています。

この試験に合格することができれば正しい介護技術を習得できているとされ、介護事業において実業務を行うことが認められます。

日本語試験の難易度はどのくらい?

日本語分野、介護分野ともに一定の基準がありますが、それぞれのスキルとしてのレベルや試験の難易度はどれほどのものなのでしょうか。

日本で生活している私たちにとって、特に日本語分野の試験に関する難易度は把握しづらい部分がありますが、例えば「日本語能力試験N4」は基本的な日本語が理解できる能力を有していることを判断するものとなっています。

これは日常生活の大部分で不自由のないレベルのリーディング・リスニング能力です。

「介護日本語評価試験」も同様のレベル感ではありますが、こちらは主に介護に関する用語や声かけに必要な日本語能力を測るものとなっています。

介護技能評価試験の難易度はどれくらい?

一方「介護技能評価試験」については、介護全般の知識が問われ、主に要介護者とのコミュニケーション技術や生活支援に関わる内容が出題されます。

介護技能評価試験は2019年に特定技能制度が施行されるのと同時に開始されたため、出題の傾向などはまだ完全に把握することができないのが実状です。

ただ、サンプル問題は厚生労働省のホームページから確認できます。

参考までにご紹介すると、フィリピンでの合格率は約40%前後となっているそうです。

試験免除のための条件

介護や日本語に関する試験に合格することで在留資格を得ることができますが、試験の受験以外にも資格取得の方法があります。

実務経験や学校での教育修了の経歴があれば、それが試験の合格に代わるものと見なされます。

ここでは試験が免除になる3パターンをご紹介します。

介護福祉養成課程を修了する

介護福祉養成課程とは、医療福祉の専門学校や大学で履修できるもので、介護に関わる知識を深く学ぶものとなっています。

そのため、この課程を修了していれば相応の知識があると見なされ、試験を受けなくとも特定技能の在留資格を得ることができます。

「技能実習2号」の修了

「技能実習2号」を修了していることが修了証から証明できた場合には、試験が免除されます。ただし、「技能実習2号」を取得するためには最低でも3年は実際の介護現場で勤務する必要があります。

一朝一夕には得られない資格ですが、実務経験が豊富なのであれば活用できるものとなっています。

4年間「EPA介護福祉士候補者」として在留する

EPA介護福祉士候補者とは、日本の介護施設で働きながら介護福祉士の資格取得を目指す人のことを指します。

現時点ではインドネシア、フィリピン、ベトナムの3ヶ国から候補者を受け入れており、国によってEPA介護福祉士候補者資格の取得条件が異なります。

ちなみにEPAとは経済連携協定のことで、その協定の中で日本の労働力不足を補うためこの制度が制定されました。

申請に必要な書類

特定技能での在留資格を申請する際に提出しなければならない書類は、出入国在留管理庁の「特定技能総合支援サイト」からダウンロードできます。

申請書類は、大まかに「申請者に関するもの」「受け入れ事業者に関するもの」「介護分野に関するもの」の3つに分けられます。

それぞれの項目で必要な書類をご紹介します。

 

申請者に関する書類

申請者本人に関する必要書類は下記の通りです。

  1. 表紙
  2. 特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧表(第1表)
  3. 在留資格認定書交付申請書
  4. 特定技能外国人の報酬に関する説明書(第1-4号)
  5. 特定技能雇用契約書の写し(第1-5号)
  6. 雇用条件書の写し※別紙 賃金の支払(第1-6号)
  7. 雇用の経緯に係る説明書(第1-16号)
  8. 徴収費用の説明書(第1-9号)
  9. 健康診断個人票※別紙 受診者の申告書(第1-3号)
  10. 1号特定技能外国人支援計画書(第1-17号)
  11. 登録支援機関との支援委託契約に関する説明書(第1-25号)
  12. 二国間取決において定められた遵守すべき手続に係る書類

2.の「特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧表(第1表)」に必要書類のチェックリストが付属しているので、事前に確認しておくと申請がスムーズになるでしょう。

また留学ビザから特定技能への切り替えを行う場合などは変更にあたるため、これらの書類では手続きできません。こちらを参考に、変更用の書類を用意しましょう。

 

受け入れ事業者に関する書類

続いて、特定技能をもった外国人を受け入れる事業者にかかわる書類です。

かなり多くの書類を提出する必要があるため、早めに必要書類を確認して準備をはじめましょう。

  1. 特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧表
  2. 特定技能所属機関概要書(第1-11号)
  3. 登記事項証明書
  4. 業務執行に関与する役員の住民票の写し
  5. 特定技能所属機関の役員に関する誓約書(第1-23号)
  6. 労働保険料等納付証明書(未納なし証明)
  7. 社会保険料納入状況回答票又は健康保険・厚生年金保険料領収証書の写し
  8. 税務署発行の納税証明書(その3)
  9. 法人住民税の市町村発行の納税証明書(直近1年分)

14.の特定技能所属機関概要書では、受け入れを行う施設における支援体制を事業所ごとに詳細にわたって記載する必要があります。

 

介護分野に関する書類

ここまでの申請書類は他の特定技能で外国人の受け入れを行う場合と共通のものでしたが、下記でご紹介する書類は、特に介護分野で特定技能の申請を行う際に必要なものです。

また試験を受験する場合と、試験免除で在留資格を取得する場合では必要書類が異なります。

  1. 介護分野における特定技能外国人の受け入れに関する誓約書
  2. 介護分野における業務を行わせる事業所の概要書
  3. 協議会の構成員であることの証明書(特定技能外国人を初めて受け入れた日から4ヶ月経過している場合)
  4. 本人の能力が要件を満たしていることを示す書類

25.の本人の能力を示すために出さなければならない書類は、試験受験の可否やこれまでの経歴によって異なります。

たとえば介護福祉士候補者として在留期間を満了した人の場合であれば直近の「介護福祉士国家試験の結果通知書の写し」が必要になりますし、介護福祉士養成施設(大学など)で介護福祉養成課程を修了している場合には卒業証明書の写しの提出が求められます。

申請方法を含め事前に確認しておくようにしましょう。

特定技能を取得するために

ここまでの内容で特定技能の制度概要や申請書類について解説してきました。

要件を満たした上で書類を正しく記入して提出することは大前提ですが、それでも試験の結果によっては在留資格を得られないこともあります。

また、在留資格取得後に実務で使えるレベルの知識を得ていることも非常に大切です。

そこで、身につけるべき能力と学習方法についてご紹介します。

 

試験対策や就労時に必要な能力

「日本語能力試験」や「介護日本語評価試験」の試験概要は先ほど触れた通りですが、この試験に合格するためには一般的に使われる日本語や、介護に関する日本語の習得が必要不可欠です。

また、介護施設で就労する際には利用者を安全に介護するための日本語力が求められます。

幅広い範囲の日本語を正しく身につけることで、さらなるスキルアップも望めます。

 

介護に関する日本語の学習方法

各言語のテキスト(こちらからアクセスできます)が無料公開されているため、「介護技能評価試験」や「介護日本語評価試験」の試験対策はテキストを元にした学習が可能です。

「日本語能力試験」についても、テキストや教育カリキュラムを提供している組織は数多くあるため、受講者本人に合った方法を選択するとよいでしょう。

ただ、特に実践的な日本語に関する学習に関してはテキストだけでなく、実際にコミュニケーションを取りながら覚えた方が早く身につくといえます。

 

eラーニングは活用できる?

昨今のコロナ禍において、直接日本語を教えることに対するハードルは上がってしまいました。

そこで挙がってくるのがeラーニングという選択肢です。

eラーニングは、シフト業務が多い介護現場でも時間を取りやすく、受講場所に縛られない自由度の高さを特徴としています。

またテキストだけではできないような、音声の確認をしながらの学習を進められることも特徴です。

オンラインレッスンでは、講師との会話を通じて日常生活や仕事で使える日本語を学び、その場でフィードバックがもらえるため、発話をする自信もつきます。

さらにeラーニングでの自習と並行して講師とのオンラインレッスンを受講すると、インプットとアウトプットの両方ができるため、日本語能力を高めるのにもってこいだといえます。

 

最適な学習環境を作って優秀な人材の養成を!

特定技能制度を使って在留資格を得る際には、もちろん試験への合格は大切です。

しかし、最終目的は日本語を使って介護業務に従事することです。

そのため外国人労働者の受け入れを行う際には、しっかりと使えるレベルの日本語を学べるよう充実した教育体制を整えましょう。

「MANABEL JAPAN」では日本で働く外国人に向けた教育サービスを展開しています。

「シーンで学ぶ!実践介護の日本語会話トレーニング講座」(インドネシア語・ベトナム語対応)は介護現場で必要な会話の練習ができるeラーニングです。

受講者の声を録音・再生できるので、利用者やスタッフ同士、上司に伝わる正しい発音の日本語を習得できます。

各特定技能に対応したeラーニングコンテンツも充実しているので、ぜひ一度ご相談ください!

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