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特定技能「介護」とは?学習すべき内容までご紹介

日本全体で高齢化が急速に進行していると言われるようになって久しいですが、その波は介護業界を日々圧迫しています。特に介護職の人手不足が深刻化しており、今働いている人たちの負担は年々重くなっています。

そのような状況下で、特定技能「介護」という在留資格制度を活用した海外からの人材受け入れが徐々に加速していくでしょう。

この記事では、この制度の概要やこの資格を取得するために必要なものをご紹介します。

 

特定技能「介護」とは

「特定技能」制度を使って人材不足の解消に努めているという話は、様々な業種で耳にすることがありますが、実際にこの制度がどのようなものなのか説明できる人は少ないかもしれません。

ここでは、特定技能制度の対象となる14の業種の中から「介護」をピックアップし、資格の内容や取得の要件を解説します。

 

介護業界に外国の人材を受け入れるための在留資格制度

特定技能(英語:Specific skill)は、2019年に開始された日本国内のさまざまな業界で深刻化する人手不足を解消することを目的として作られ在留資格制度です。海外からの労働人口を積極的に日本の産業の中に取り入れています。

中でも特定技能「介護」は、主に介護職に就くことを前提に在留資格を付与するもので、2022年3月末時点で29,764人近くの在留外国人がこの資格を取得しています。

ちなみに在留資格を得た人たちの国籍として最も多いのはベトナムで、フィリピンや中国が続きます。

 

介護業界は慢性的な人手不足に苦しんでいる

少子高齢化が進む日本では、多くの産業において人手不足が発生しています。
介護領域においてもそれは例外ではなく、需要に対して働き手が足りていないのが現状です。

特に地方では労働人口が都市部に流出してしまっていることが多く、より厳しい状況に追い込まれています。

そのような状況を改善するために特定技能制度が施行され、厚生労働省は2024年までに6万人もの外国人労働者の受け入れを行うことを目標としました。

ただ、現在は新型コロナウイルスの影響で思うように受け入れができていないため、人手不足の解消には時間がかかるとみられます。

 

特定技能「介護」を取得することでできるようになること

介護分野の特定技能を取得することで、国外からの労働者は5年間就労目的での滞在が可能になります。

またフルタイムでの直接雇用と、日本人と同等以上の報酬支払いが義務づけられているため、収入の安定を図ることができます。

雇用側が人手不足を補える一方で、働き手となる外国人にもメリットのある制度です。

滞在期間が5年であるという点について「意外と短い・・・」「もっと長く働いてほしい」という方も多いかと思います。お互いに長く働きたい・働いてほしいという場合に、特定技能「介護」から別の在留資格を取得しなおすことで可能となる場合があります。これについては後述します。

 

特定技能を取得した外国人労働者の仕事内容

特定技能「介護」を持つ外国人労働者の主な業務内容は「身体介護業務」と「支援業務」の2つです。

身体介護とは利用者の身体に直接触れて行う介護行為のことで、入浴の介助や着替えの支援などがこれにあたります。

支援業務は介助に付随して生じる業務を指し、機能訓練を行う際の補助や介護施設で行われるイベントの企画などがこれに該当します。

 

特定技能「介護」を取得するための要件

続いて、特定技能「介護」を取得するにあたって満たさなければならない要件をご紹介します。

基本的にこの特定技能は「日本語能力」「介護能力」の2つの軸で成り立っています。どちらのスキルも現場で活用できるように高める必要があることはぜひ頭に入れておいてください。

 

日本語のスキルで一定の基準を満たす

日本語を扱えるようになることは、日本で働く上で必要不可欠です。これは他の特定技能にも共通することですが、介護業務では特にコミュニケーションを取りながら利用者に寄り添ったサービスを提供することが求められるため、介護業務の中で使える実践的な日本語力を培わなければなりません。

具体的な評価指標としては、「日本語能力試験N4以上」と「介護日本語評価試験」両方の合格もしくは「国際交流基金日本語基礎テスト」の合格があります。

 

介護のスキルで一定の基準を満たす

日本において介護職に従事する上で日本語スキルと同様に必要になるのは、介護そのものの技術です。

厚生労働省はこの項目を「技能試験」と呼称しており、具体的には「介護技能評価試験」に合格することを求めています。

この試験に合格することができれば正しい介護技術を習得できているとされ、介護事業において実業務を行うことが認められます。

 

日本語試験の難易度はどのくらい?

日本語分野、介護分野ともに一定の基準がありますが、それぞれのスキルとしてのレベルや試験の難易度はどれほどのものなのでしょうか。

日本で生活している私たちにとって、特に日本語分野の試験に関する難易度は把握しづらい部分がありますが、例えば「日本語能力試験N4」は基本的な日本語が理解できる能力を有していることを判断するものとなっています。

これは日常生活の大部分で不自由のないレベルのリーディング・リスニング能力です。

「介護日本語評価試験」も同様のレベル感ではありますが、こちらは主に介護に関する用語や声かけに必要な日本語能力を測るものとなっています。

介護施設で就労する際には利用者を安全に介護するための日本語力が求められます。幅広い範囲の日本語を正しく身につけることで、さらなるスキルアップも望めますのでぜひ身に付けたいものです。

 

介護技能評価試験の難易度はどれくらい?

一方「介護技能評価試験」については、介護全般の知識が問われ、主に要介護者とのコミュニケーション技術や生活支援に関わる内容が出題されます。在留資格取得後に実務で使えるレベルの知識を得ていることも非常に大切です。

介護技能評価試験は2019年に特定技能制度が施行されるのと同時に開始されたため、出題の傾向などはまだ完全に把握することができないのが実状です。

ただ、サンプル問題は厚生労働省のホームページから確認できます。

参考までにご紹介すると、フィリピンでの合格率は約40%前後となっているそうです。

「特定技能」在留資格で日本の介護施設で働くためには、介護技能評価試験の合格が必須です。

MANABEL JAPANには、国内外で受験を控えている外国人が、日本の介護を基礎から学べて、試験の合格を目指す「特定技能 介護技能評価試験対策講座」がございます。

 

介護に関する日本語の学習方法

各言語のテキスト(こちらからアクセスできます)が無料公開されているため、「介護技能評価試験」や「介護日本語評価試験」の試験対策はテキストを元にした学習が可能です。

「日本語能力試験」についても、テキストや教育カリキュラムを提供している組織は数多くあるため、受講者本人に合った方法を選択するとよいでしょう。

ただ、特に実践的な日本語に関する学習に関してはテキストだけでなく、実際にコミュニケーションを取りながら覚えた方が早く身につくといえます。

 

eラーニング・オンラインレッスンを活用する

昨今のコロナ禍において、教室で直接日本語を教えることに対するハードルは上がってしまいました。
そこで挙がってくるのがeラーニング・オンラインレッスンという選択肢です。

eラーニングは、シフト業務が多い介護現場でも時間を取りやすく、受講場所に縛られない自由度の高さを特徴としています。
またテキストだけではできないような、音声の確認をしながらの学習を進められることも特徴です。

オンラインレッスンでは、講師との会話を通じて日常生活や仕事で使える日本語を学び、その場でフィードバックがもらえるため、発話をする自信もつきます。

さらにeラーニングでの自習と並行して講師とのオンラインレッスンを受講すると、インプットとアウトプットの両方ができるため、日本語能力を高めるのにもってこいだといえます。

 

試験免除のための条件

介護や日本語に関する試験に合格することで在留資格を得ることができますが、試験の受験以外にも資格取得の方法があります。

実務経験や学校での教育修了の経歴があれば、それが試験の合格に代わるものと見なされます。

ここでは試験が免除になる3パターンをご紹介します。

 

介護福祉養成課程を修了する

介護福祉養成課程とは、医療福祉の専門学校や大学で履修できるもので、介護に関わる知識を深く学ぶものとなっています。

そのため、この課程を修了していれば相応の知識があると見なされ、試験を受けなくとも特定技能の在留資格を得ることができます。

 

「技能実習2号」の修了

「技能実習2号」を修了していることが修了証から証明できた場合には、試験が免除されます。ただし、「技能実習2号」を取得するためには最低でも3年は実際の介護現場で勤務する必要があります。

一朝一夕には得られない資格ですが、実務経験が豊富なのであれば活用できるものとなっています。

 

4年間「EPA介護福祉士候補者」として在留する

EPA介護福祉士候補者とは、日本の介護施設で働きながら介護福祉士の資格取得を目指す人のことを指します。

EPA介護福祉士候補者は日本の介護施設で介護の手法を働きながら学んでいるため試験が免除されることになっています。

 

ここでご説明している「技能実習」や「EPA介護福祉候補者」は「特定技能」以外で、外国人介護士として働くことのできる在留資格です。「特定技能」を取得して働く外国人介護士を取り巻く環境として、記事の後半でご説明いたします。

 

申請に必要な書類

特定技能での在留資格を申請する際に提出しなければならない書類は、出入国在留管理庁の「特定技能総合支援サイト」からダウンロードできます。

申請書類は、大まかに「申請者に関するもの」「受け入れ事業者に関するもの」「介護分野に関するもの」の3つに分けられます。

それぞれの項目で必要な書類をご紹介します。

 

申請者に関する書類

申請者本人に関する必要書類は下記の通りです。

  1. 表紙
  2. 特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧表(第1表)
  3. 在留資格認定書交付申請書
  4. 特定技能外国人の報酬に関する説明書(第1-4号)
  5. 特定技能雇用契約書の写し(第1-5号)
  6. 雇用条件書の写し※別紙 賃金の支払(第1-6号)
  7. 雇用の経緯に係る説明書(第1-16号)
  8. 徴収費用の説明書(第1-9号)
  9. 健康診断個人票※別紙 受診者の申告書(第1-3号)
  10. 1号特定技能外国人支援計画書(第1-17号)
  11. 登録支援機関との支援委託契約に関する説明書(第1-25号)
  12. 二国間取決において定められた遵守すべき手続に係る書類

2.の「特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧表(第1表)」に必要書類のチェックリストが付属しているので、事前に確認しておくと申請がスムーズになるでしょう。

また留学ビザから特定技能への切り替えを行う場合などは変更にあたるため、これらの書類では手続きできません。こちらを参考に、変更用の書類を用意しましょう。

また、11.で記載されている登録支援機関とは、受け入れ企業からの委託を受け、特定技能1号としての受入れに関する支援を特定技能所属機関の代わりに行う機関のことをいいます。
次にご説明しますが、受け入れ企業にも受け入れに必要な書類や、支援計画書の作成、実際の支援など様々な取り組みが求められます。登録支援機関に委託することも一つの選択肢であることは念頭に置いておきましょう。

 

受け入れ事業者に関する書類

続いて、特定技能をもった外国人を受け入れる事業者にかかわる書類です。

かなり多くの書類を提出する必要があるため、早めに必要書類を確認して準備をはじめましょう。

  1. 特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧表
  2. 特定技能所属機関概要書(第1-11号)
  3. 登記事項証明書
  4. 業務執行に関与する役員の住民票の写し
  5. 特定技能所属機関の役員に関する誓約書(第1-23号)
  6. 労働保険料等納付証明書(未納なし証明)
  7. 社会保険料納入状況回答票又は健康保険・厚生年金保険料領収証書の写し
  8. 税務署発行の納税証明書(その3)
  9. 法人住民税の市町村発行の納税証明書(直近1年分)

14.の特定技能所属機関概要書では、受け入れを行う施設における支援体制を事業所ごとに詳細にわたって記載する必要があります。

 

介護分野に関する書類

ここまでの申請書類は他の特定技能で外国人の受け入れを行う場合と共通のものでしたが、下記でご紹介する書類は、特に介護分野で特定技能の申請を行う際に必要なものです。

また試験を受験する場合と、試験免除で在留資格を取得する場合では必要書類が異なります。

  1. 介護分野における特定技能外国人の受け入れに関する誓約書
  2. 介護分野における業務を行わせる事業所の概要書
  3. 協議会の構成員であることの証明書(特定技能外国人を初めて受け入れた日から4ヶ月経過している場合)
  4. 本人の能力が要件を満たしていることを示す書類

25.の本人の能力を示すために出さなければならない書類は、試験受験の可否やこれまでの経歴によって異なります。

たとえば介護福祉士候補者(EPA)として在留期間を満了した人が特定技能「介護」に切り替える場合は直近の「介護福祉士国家試験の結果通知書の写し」が必要になりますし、介護福祉士養成施設(大学など)で介護福祉養成課程を修了している場合には卒業証明書の写しの提出が求められます。

申請方法を含め事前に確認しておくようにしましょう。

 

受け入れ企業側の注意点

各事業所は、特定技能を取得した外国人労働者を雇用することで人手不足を補うことができますが、雇用に際していくつかの制約はあります。

ここからは、雇用やその他の事柄で受け入れ側の企業が注意すべきことや、しなければならないことを解説します。

 

雇用上の注意点

特定技能「介護」を持った外国人労働者を雇用するにあたって、企業が注意しなければならないことには次のようなものがあります。

  • 雇用形態は直接雇用でなければならない
  • 訪問介護サービスやサービス付き高齢者住宅では雇用ができない
  • 受け入れ人数は日本人の常勤職員の数を上回ってはならない
  • 特定技能で雇用された場合、5年が経過したら外国人労働者は帰国しなければならない

特に気をつけなければならないのは、事業所が提供しているサービスにより受け入れの可否が異なる点です。

特定技能「介護」の取得者を雇用することができるのは、事業所で介護サービスを提供している事業者のみのため、訪問系の介護サービスにはこの制度は適用されません。

また、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)はあくまで介護サービスが付随的に提供されるという認識のため、訪問介護と同様に特定技能「介護」の対象にはなりません。

 

就労支援や生活支援をする必要がある

特定技能外国人を雇用するためには「1号特定技能外国人支援計画」を作成した上で、就労や生活に関する支援をする必要があります。

この支援計画で定められているのは次の10項目です。

  • 事前ガイダンス
  • 出入国する際の送迎
  • 住居確保、生活に必要な契約支援
  • 生活オリエンテーション
  • 公的手続等への同行
  • 日本語学習の機会の提供
  • 相談、苦情への対応
  • 日本人との交流促進
  • 転職支援(人員整理等の場合)
  • 定期的な面談、行政機関への通報

この項目からお分かりいただけるように、入国する前の段階から最終的に出国するまで、生活や就労に関する支援をするという内容となっています。

計画通りに支援を行うのはもちろんですが、本人たちの困りごとに対処するというスタンスで不安を解消するようにすると良いでしょう。

 

特定技能協議会に加入する必要がある

特定技能「介護」の在留資格で外国人労働者を受け入れる事業者は、「介護分野における特定技能協議会」に加入しなければなりません。

加入期限は、最初の外国人労働者の受け入れを行った日から起算して4ヶ月以内です。

 

外国人介護士が長く働くために知ってほしい「4つの在留資格」

ここまでの内容で特定技能の制度概要や申請書類について解説してきました。

特定技能の雇用をお考えの方は、せっかく雇用するのだから長く働いて欲しいと思われているのではないでしょうか。

外国人介護士が日本で働くために必要な在留資格は「4つの在留資格」があります。そのうちの一つが特定技能「介護」です。

この4つの在留資格を知ることによって、彼らの取り巻く環境を知り、目標に向けて共に歩むことができます。
それぞれの在留資格で特徴や取得要件が異なるため、外国人を受け入れる際にはそれぞれの基本情報を頭に入れておくことをおすすめします。

 

特定技能「介護」

先述の通りですが、「特定技能」とは、人手不足が激しい業界で一定以上の知識や技術力のある外国人を受け入れる制度です。介護業界もそのうちの1つで、実際多くの介護施設では人手不足が深刻化しており、手が回らない状態が続いています。介護における特定技能外国人を受け入れる条件は、雇用形態や報酬、業務内容等細かく定められています。この部分については、後ほど詳しく解説をしていきます。

特出すべきは在留期間が最長5年間となっていることです。
採用する側の気持ちとしては、せっかく採用したのですから、長く働いてほしい、5年は短いと思われる方も多いかと思います。その場合には、後述する在留資格「介護」への切り替え要件達成が必要です。そのために、この在留期間中に外国人介護士自身が勉強に励むこと、また、要件達成のために組織の制度自体も見直す必要さえあります。

 

技能実習制度

技能実習制度とは、海外から実習生を受け入れて日本で実務経験を積んでもらい、そこで得た学びを自国へ持ち帰ることで、自国の発展に繋げてもらうことを目的とした制度です。労働者不足を補うためではなく、技術の習得が目的になるため、5年という短期間で帰国することとなります。特定技能「介護」として働く外国人介護士の中には、以前はこの技能実習制度を利用して在留され、その後、より長く働くために特定技能「介護」に切り替える方も多いかと思います。

介護分野で技能実習制度を活用するためには要件があります。
まずは日本語でのコミュニケーション能力に関するものです。そもそも日本語での会話が成立しなければ、スムーズに業務が進むことはないでしょう。
そこで一定の水準として、下記が求められています。

  • 1年目は日本語能力検定4級(N4)に合格しているか、同等以上の能力
  • 2年目では日本語能力検定3級(N3)に合格しているか、同等以上の能力

また、合わせて「同等業務従事経験」が必要となります。これは外国での介護業務への従事経験を指します。制度としては諸外国に対して高い技術を伝えることが目的になるため、基本的に自国で経験できることは、あらかじめ経験しておくことが条件です。

具体的には、介護施設や居宅で、高齢者または障がい者の日常生活の世話・機能訓練の実務経験があることや、看護師資格の取得、介護士認定を受けた経験が挙げられます。
この3点のいずれかを満たすことが、技能実習生になるための要件となっているのです。

詳しくは、「特定技能とは?技能実習との違いや今後の傾向を解説!」のお役立ち記事をご覧ください。

 

EPA介護福祉士候補者

EPA(Economic Partnership Agreement)は、経済連携協定を表します。そして、この協定に基づいて日本の介護施設で介護の手法を働きながら学び、介護福祉士の資格取得を目指す外国人を「EPA介護福祉士候補者」と呼びます。こちらも特定技能「介護」として働く外国人介護士の中には、以前EPA介護福祉士候補者として在留され、その後、より長く働くために特定技能「介護」に切り替えた方もいらっしゃいます。

EPA介護福祉士候補者は、条件を満たした受け入れ機関で3年間働き、実務を経験しながら介護の知識や技術を身につけて試験に臨みます。そして、介護福祉士の国家資格を受験し「合格」した場合は、後述する在留資格「介護」として、在留期間を無制限に延長でき日本に滞在し続けられるようになります。もし「不合格」となってしまった場合には、一定の条件を満たせない限り帰国を余儀なくされます。

EPA介護福祉士候補者の在留期間は4年間ですが、その後、特定技能「介護」に切り替える場合には試験の免除を受けられますので、長く働くことを希望される場合には、特定技能「介護」に在留資格を切り替えをし、再度、介護福祉士試験を目指し、働きながら勉強することも可能です。

なお、介護福祉士の人手不足は年々深刻化していますが、「EPA介護福祉士候補者」は、そういった人材不足の状況を改善するための人材ではないので要注意です。本制度の目的は、国と国の経済的な連携をヒト・モノ・カネを通じて強固なものにしていくこととされています。
現時点ではインドネシア、フィリピン、ベトナムの3ヶ国から候補者を受け入れており、国によってEPA介護福祉士候補者資格の取得条件が異なります。

 

在留資格「介護」

在留資格「介護」とは、平成29年に新たに就労ビザとして認められた在留資格です。これは「介護福祉士」の資格を持つ外国人が介護の仕事をするために必要になる資格です。
最長5年の在留資格を無制限に更新ができ、家族滞在ビザの取得も可能で、日本で永住する・長く働くことを希望する外国人介護士の方は、この在留資格取得を目指すことになります。

この在留資格「介護」を取得するには、はじめから「介護福祉士」資格の取得が必要になります。さらに、高い日本語能力(N2以上)を取得しなければならないという点に加え、この在留資格を活用する際の条件は、下記の3つがあります。
・介護を行う日本企業と雇用契約を結ぶ
・職務の内容が介護か介護の指導である
・同じ仕事をする日本人と同等かそれ以上の給与を取得している

これらの点から、かなり難易度は高いのですが、介護士として日本で長く働きたいと考える外国人はこの資格を目指すことになります。
特定技能「介護」で働く外国人介護士の方も、長く働くために在留資格「介護」取得を目指す方が多くいらっしゃいます。「介護福祉士」資格を取得後、特定技能「介護」など在留資格を以前のものから在留資格「介護」に変更し、介護福祉士として働き始めるといった流れになります。

特定技能「介護」の人材を雇う上で、この「介護福祉士」資格取得についての知識はぜひ持っておきたいものです。

 

介護福祉士になるには?

前述したとおり、特定技能には在留期間が定められています。それ以上に在留する場合には在留資格「介護」のビザ取得が求められますが、そのためには、介護福祉士の資格が必要になります。
EPAの方は不合格の場合、帰国を余儀なくされるというシビアな状況であるため、一発合格を決めたいと考えている方もいらっしゃいます。
長く働いてほしいと思っている受け入れ企業様にはぜひ、介護福祉士の資格取得を目指すためのサポートを行っていただきたいと思います。

ここでは、外国人が介護福祉士になるための具体的なルートや、合格に必要な教育について解説していきます。

 

介護福祉士の資格取得方法

外国人が介護福祉士になる方法を3つ解説していきます。

1つ目は、EPAを活用する方法です。上述した、インドネシア・フィリピン・ベトナム国籍の外国人が使うことができる、3年間実務経験を経て介護福祉士試験を受験する制度です。

筆記試験のみのEPAの方の介護福祉士試験合格率は、30%超となっています。(EPAの方は実際に働いている介護福祉士からの講義を受けることで実技試験が免除される「実務者研修」を受ける想定)

2つ目は、介護福祉士養成施設の大学や短大に2年間通学し修了する方法です。

卒業後5年以内に試験の受験が必要になりますが、この方法の場合は筆記試験のみが必要になります。そして、テスト内容は日本人が受験するものと同じになります。この方法をとる場合は、大学や短大でより学びを深めるため、大学専門学校での学習に加えて、日本語検定2級(N2)レベルの日本語を取得しておくことがおすすめです。

(注意)「社会福祉士及び介護福祉士法」の改正により、平成29年度(第30回)から、養成施設ルートが介護福祉士国家試験の受験資格となりました。なお、養成施設を令和8年度末までに卒業する方は、卒業後5年の間は、国家試験を受験しなくても、または、合格しなくても、介護福祉士になることができます。この間に国家試験に合格するか、卒業後5年間続けて介護等の業務に従事することで、5年経過後も介護福祉士の登録を継続することができます。令和9年度以降に養成施設を卒業する方からは、国家試験に合格しなければ介護福祉士になることはできません。
引用元:https://www.sssc.or.jp/kaigo/shikaku/route.html

3つ目は特定技能・技能実習のビザを取得し、介護施設での実務を3年以上経験することで受験資格を得る方法です。

他の方法と比較して、現場中心の学習方法になるため、介護業務に加えて実際に使われる日本語も頭に入ってきやすい学習方法だといえるでしょう。
さらに「実務者研修」をあらかじめ受けることで、実技試験が免除され、より合格率があがるのでおすすめです。実技試験は日本語で行われるため、外国人の方にとって、ハードルが高い場合が多くあります。

 

介護福祉士の資格取得に必要な教育

介護福祉士は、利用者や他の職員とコミュニケーションをとって連携する必要がある仕事だからこそ、介護の知識や技術の習得に加えて日本語の学習が重要になります。ここからは、実際に介護の現場に立つことも加味した上で、どのような学習が必要かを解説していきます。

 

介護福祉士の資格試験の学習

介護福祉士になるために必要不可欠なのは、資格試験の学習です。試験は全部で13科目あります。問題の内容は医療行為や、認知症や老化など難易度の高いものから、コミュニケーションに関する問題や、介護の基礎にかかわる内容をはじめとした比較的簡単な問題など多岐にわたります。

全体の問題数は125問と多く、時間は220分※しかないため、1問当たり1〜2分で回答できなければ最後まで解くことができないことから、時間配分も重要な試験となっています。

※外国人は日本人よりも長い時間になります

試験の要となるのは、1番出題数が多い「生活支援技術」という項目で、普段の介護業務に関する内容が主となっています。食事・入浴・排泄といった介護の基本的な部分の出題が多いので、普段から経験を積んでいる場合はそこまで難易度は高くなく、高得点を狙える項目になっています。

これらの学習を行う際には、独学の他にも学習施設の活用や、eラーニングの利用などの方法をとることが想定されます。時間を有効活用し、効率的に学習を進めるためにはeラーニングの活用がおすすめです。

 

日本語教育

外国人の介護福祉士にとって、日本語教育は2つの意味で重要だといえます。

1つ目は、介護福祉士の資格試験対策の観点です。介護福祉士の試験問題は、日本人が受験する場合と同じ難易度にするため日本語で出題されます。そのため、介護の知識を身につけていても、語学力が不足していることが原因で問題の内容や回答が分からず、点数を落としてしまう可能性もあるのです。実際に、日本語を学ぶ時間が国別平均で長い国は合格率の高い傾向にあります。つまり、介護以前にどれだけ日本語のスキルを高められるかは、資格取得において重要なポイントだと言えるのです。

2つ目は、業務を行う上で日本語でのコミュニケーションが必要不可欠だからです。実際の現場に立つ時には、1人で介護にあたるケースはあまりなく、連携をスタッフ同士で行うことが多いです。スタッフとの連携を図る際に誤った解釈をしてしまうと、重大な事故に繋がりかねません。安全かつ円滑に業務を進めるため、日本語能力は決しておろそかにはできないのです。

また、介護施設利用者とは基本的に日本語でコミュニケーションをとります。介護において、利用者とコミュニケーションをとって会話をすることは、特に重要な業務内容になります。そのため、語学力がないと利用者に満足してもらえるような介護サービスを提供できなくなってしまいます。

こうした理由から、日本語検定3級の知識が最低限必要だと言われていることは納得していただけるでしょう。また、資格対策の語学力だけではなく、普段の会話も難なくこなせるような語学力を身につけることが大切なのも、また事実です。

テキストだけではなかなか日常会話を勉強をするのは難しいため、講座やeラーニングを活用して会話の練習ができる環境を作ることをおすすめします。

MANABEL JAPANでは、日本語の知識や介護の技術力のある外国人を育成するために、介護の日本語教育経験が豊富な講師陣による「オンラインレッスン」と、介護の会話トレーニングができる「介護の日本語eラーニング」との組み合わせで、スタッフひとりひとりの課題に合わせた完全個別カリキュラムで指導します。

 

最適な学習環境を作って優秀な人材の養成を!

特定技能制度を使って在留資格を得る際には、もちろん試験への合格は大切です。

しかし、最終目的は日本語を使って介護業務に従事することです。

そのため外国人労働者の受け入れを行う際には、しっかりと使えるレベルの日本語を学べるよう充実した教育体制を整えましょう。また長く働いてもらいたい事業者様は継続的なサポートを行っていくこともまた必要です。

「MANABEL JAPAN」では日本で働く外国人に向けた教育サービスを展開しています。

外国人介護士向け介護の日本語オンラインレッスン&eラーニングは介護現場で必要な会話の練習ができるeラーニング・オンラインレッスンです。

スタッフひとりひとりの課題に合わせた完全個別カリキュラムで、現場で活きる会話を学ぶことができることはもちろん、受講者の声を録音・再生できるeラーニングで、利用者やスタッフ同士、上司に伝わる正しい発音の日本語を習得できます。

各特定技能に対応したeラーニングコンテンツも充実しているので、ぜひ一度ご相談ください!

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